ミュージカル ドン・ジュアン

マチネ。
梅田芸術劇場 メインホール。 


何も予習せずに臨んだんだけど、ストーリーは簡単。金も地位も美貌も持ち合わせた色男(但しクズ)であるドン・ジュアンが、かつて殺した騎士団長の呪いに導かれて真実の愛を知る(好きな女に出会う)んだけど、蜜月真っ最中にその女がかつて結婚を約束した相手が戦場から戻ってきて、その男とドン・ジュアンが決闘してドン・ジュアンが死ぬっていう話。 ←すげえざっくり


▼1幕(90分)

■クズエピソード1 騎士団長殺し
ドン・ジュアンが騎士団長の娘と一夜を共にしたことが騎士団長にバレて、騎士団長カンカンに怒っちゃって、それでドン・ジュアンが騎士団長を殺す。っていうので始まるんだけど、早々にクズでびっくりする。わたしが騎士団長の娘だったとしたら許せない。

■全く喋らない藤ヶ谷
そもそもドン・ジュアンが登場するまでにも結構時間かかるんだけど、登場しても一言も発さず身振りだけっていう時間が長すぎてびっくりした。幕開いても10分15分はドン・ジュアンの声がない。(時間計ってないから体感)
そのぶん第一声に意味を持たせてるんだろうけど、何せ引っ張りなげえな…と思いました。

■クズエピソード2 修道女をポイ捨て
「妻にする」と言って修道女と一夜を共にして翌朝には消えるドン・ジュアン。クズである…

■追い詰められた女の狂気
その修道女がなかなかにやべー女だった。地雷系。ドン・ジュアン本人に取り付く島もないとわかると父ジュアンの方に乗り込んでいくとか、その発想はどうなんって思ったけどこの時代だとそういうことは普通なのか?(修道女の独断ではなくドン・ジュアンの親友みたいな人の提案だったとはいえ)

死亡フラグ
出征前の結婚報告とか完全に死亡フラグでしかない…… と思いながら見ていた。
(予想通りと思ったら2幕でまさかのラファエル生きてたパターンで裏切られた)

■真実の愛の相手
修道女が相手ちゃうんかーーーい!(ズコーーーッ)てなりました。まあ地雷女がヒロインということはないか…と納得したんだけど、それにしてもヒロインの登場遅すぎんか?

■石
ドン・ジュアンの心は石のように冷たい」みたいな歌詞が最初の方の歌にあったと思うんだけど、石のような心を持つ男が石に命を吹き込む彫刻家である女を愛するんだな……と思った。実際、マリアに出会ってドン・ジュアンは「愛」を知ったわけだから、マリアが彫刻家であることにはストーリーとしての含みがあるのかもしれない。

■エメ
劇中の藤ヶ谷の歌の中で最も素晴らしかった。
気になって幕間に調べてみたら「エメ」はフランス語で「愛する」という意味 → ん?舞台はスペインでは? → 公式HP確認 → 「フレンチミュージカル」の記載あり → ふ~ん。それでフランス語なのか? という流れがありました。

▼幕間(25分)
メインキャスト数名の歌唱が素晴らしく、公式HPで名前を調べて1人1人ぐぐって経歴などを確認していた。

▼2幕(65分)

■騎士団長に夢中
1幕でとにかく騎士団長がホラー過ぎて「こえーwwwwww」って笑いをこらえるのに必死だったんだけど(そういう舞台じゃないってわかってるしバカにしてるわけじゃないですよ、もちろん)、2幕も騎士団長は最高だった。2階席だったからステージ全体が見渡しやすくて、どこかから騎士団長が出てくるとすぐに気づいて「で、で、出た~~~!!!!www」ってなっていた。石像の後ろから騎士団長の腕が出てくるシーンとか最高。

■祝福とは
数々の女をポイ捨てしてきたクズの代名詞のような男ドン・ジュアンと、結婚を約束した相手のいぬ間に新しい男に乗り換えたマリア。ドン・ジュアンのことをそう簡単に赦せないという気持ちをこちら(観客)に持たせる為の修道女の存在(ドン・ジュアンが捨ててきた女たちの象徴として)(まぁ中には一夜限りと割り切っていた相手もいたのだろうけどそれはそれとして)なのだな~と理解。

■ところで騎士団長の石像はどうなった?
ラファエルが帰ってきた時にも完成してなかったってことは、ドン・ジュアンとマリアはむつみ合うのに忙しくて騎士団長の顔はずっとのっぺらぼうのまま放置されていたってことか… それとも顔が完成しないことにはなんか意味があるのだろうか。わたしが気づけてないだけで。

■カテコ
劇中も双眼鏡1回も使ってないけどカテコで登場した時にはもう藤ヶ谷のオーラが完全に「藤ヶ谷太輔」のそれになっていたのが遠目でもわかった。ふにゃんってしてた。劇中ずーーーっと気を張ってて(それが当たり前なんだけど)、舞台ってほんま気力も体力も激しく消耗するやろな…と思いました。


というかんじでした。おもしろかったですよ。そして豪華だった。チケ代たけーなと思ってたけど、演者の皆様のパフォーマンスが素晴らしくて、こりゃあ14000円くらいはするわと納得した。
宝塚出身の女優さんや元々舞台を生業としている役者さんたちと比べると、ガヤの発声も歌唱もやはり聞き劣りしてしまうんだけどこれはもうしゃーないね。藤ヶ谷比でめちゃくちゃ努力したんだろうなっていうのは伝わってくる発声と歌唱ではあった。ただ、やはり「ミュージカル」の特性上、本来「台詞」として「説明」される言葉の数々も歌に乗せて客席に届けなきゃいけないわけで、その部分での力がまだガヤには足りてないかな~と。聞き取りづらい箇所がちょいちょいあったので。でも技術はほんとしゃーないと思う。一朝一夕でどうにかなるものじゃないんだろうし。ガヤの声も歌声もとても魅力的だと思うので、もし今後もミュージカルに挑み続けるなら応援したいです。技術は練習で身についても、声は生まれ持ったものだからね。